枕然記

春はあけぼの 日暮らし硯に向かひて 久しくとどまりたる例なし

絵本作家・のぶみ氏の誕生会に関する見解

本当は、次は川上先生の本を紹介する記事を書こうと思っていたのですが、ちょっと憤りと悲しみが抑えきれない事態に遭遇したので、急遽ブログにまとめることにしました。

問題視してくれる人が一人でも増えればと思っています。

 

先日、いつも通りTwitterのTLを眺めていたら、信じられないツイートを目にしました。

そこには、絵本作家・のぶみ氏が東京芸術劇場で誕生会を開催したこと、営利目的禁止にもかかわらず参加費を徴収したこと、飲食厳禁のスペースで堂々とケーキを振る舞ったこと、そして、あろうことかグランドピアノ常設の場でしゃぼん玉マシーンを使ったらしいことが記されていました。

 

ピアノには木、フェルト、クロス等、水分に弱い素材が数多く使われています。

響板やハンマーに影響すれば音色が左右されますし、湿度の変化で鍵盤やアクションの動きが鈍くなることは珍しくありません。

弦などの金属部分は油分や手垢によって錆びる可能性がありますし、断線の原因にもなります。

一般の方はもちろん、演奏者でさえメンテナンスすることはできず、調律師であっても、コンサートグランドを適切に扱える人は限られています。

ピアノとは、それくらい繊細で精密な楽器なんです。

歴とした現代奏法であるプリペアドピアノ*1や内部奏法*2でさえ、ピアノのことを思えば避けてほしいぐらいで、しゃぼん玉を飛ばすなど考えられません。

 

氏が利用したのは、オーケストラのリハーサル等に使われるシンフォニースペースだったとのことで、調べてみると、ここに常設されているのはスタインウェイDー274、世界一のシェアを誇るフルコンサートグランドでした。

通常、ピアノを使用するためには事前に申請が必要ですし、会場費とは別途利用料もかかります*3

スタインウェイのフルコンが施錠もせず、カバーもされずに置かれているとは考えにくく、直接的な被害はなかったと思いますし、そう信じたいです。

でも、だからといってルールを破って飲食し、しゃぼん玉を飛ばしたらしいことは、決して許されることではありません。

 

私は氏の絵本を読んだことはありません。

テレビで「大人が泣く絵本」として紹介されていたのを見て、「『いつでも会える』*4みたいな感じかな。読んでみたいな」と思ったものの、手に取ることなく月日が流れていきました。

そして産後、ネットに溢れるトンデモ情報のなかに氏の項目を見つけ、読む気すら起こらなくなりました。

その思いは『あたしおかあさんだから』騒動でより強固なものになり、絵本を読んでもいなければ、氏の発信もほぼ見ていないという状態にあります。

だから、氏についての情報はかなり偏っていますし、本来、批判することができる立場にはないかもしれません。

また、今回の件についても、その場にいたわけでも参加者から直に話を聞いたわけでもなく、情報源も確かなものだと言い難いのは事実です。

 

それでも、おそらく会場が設定するルールを破ったことは事実でしょう。

プロオーケストラも利用するであろう場を使うにあたって、しゃぼん玉マシーンという言葉が出てくること自体がおかしいと思います。

 

夫の仕事の都合で引っ越すにあたって退職し、妊娠出産育児というライフステージを迎え、現場から随分離れてしまったとはいえ、私は今でも音楽を愛し、ピアノを愛し、調律師という職業に誇りをもっています。

娘たちが大きくなって手がかからなくなれば、細々とでも仕事ができればいいなとも思っています。

今は元調律師ですが、気持ちは離れていません。

ピアノや音楽に携わる人間として、氏には今後、東京芸術会館だけでなく類似施設への出入りも一切禁止にしてほしいですし、ピアノや楽器、音楽にすら関わってほしくないとさえ思っています。

また、氏のイラストをNHKで見るのもイヤですし、母子手帳に採用するのも本当に辞めていただきたいです。

 

絵本の評価、各種発言、活動の是非はまた別の議論になると思いますが、今回の一件がより多くの人に伝わることで、氏の様々な問題点も明るみになることを願っています。

*1:音色を変えるため、弦にあらかじめ様々のものを挟んだり乗せたりする奏法

*2:弦を直接叩いたりはじいたりして演奏する奏法

*3:東京芸術劇場では一区分(午前・午後等)あたり7000円

*4:菊田まりこ氏のミリオンセラー絵本。飼い主を亡くした犬の視点で描かれている。