枕然記

春はあけぼの 日暮らし硯に向かひて 久しくとどまりたる例なし

性を語ろう HPVワクチン編

「性を語ろう」シリーズ第4弾

今回はHPVワクチンについてお話したいと思います。

実は、ブログを始める前から、いつかきちんと自分の考えをまとめたいなぁと思っていたもの。

皆さんもご承知の通り、定期接種でありながら積極的勧奨は控えられ*1、各種裁判が現在進行形で係争中*2のセンシティブな話題です。

 

最初に私の立場を明らかにしておきます。

私はHPVワクチンを接種して、現在二児の母になっています。

HPVワクチンは基本的に接種推奨派

副反応とされる一連の症状については、HPVワクチンがトリガーのひとつになった可能性はあると思いますが、薬剤そのものとの因果関係はないと思っています。

とは言え、実際に症状に苦しむ人には、因果関係がないとしても救済措置が必要であり、治療法が確立され、症状が改善されることを切に願っています

 

そして、改めてお断りしておきますが、あくまでこのブログは私個人の経験と見解を述べるものであり、HPVワクチン接種を押し付ける気は一切ありません

ご自身できちんと検討し、医師と相談したうえで、適切な判断をしていただければと思います。

 

HPVワクチンって何?

HPVとは、ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)の略。

このウイルスが主として子宮頸がんを引き起こすため、日本では「子宮頸がんワクチン」という名称が一般的になりました。

しかしこのHPV、現在では咽頭がんや肛門がん等、子宮頸がん以外のがんの原因となることがわかっています*3

そこで、私は意図的に「子宮頸がんワクチン」ではなく「HPVワクチン」という言葉を使っています。

いくつか信頼度が高く、詳しく説明されているサイトをリンクしておきますので、ぜひご覧ください。

ヒトパピローマウイルス感染症とは|厚生労働省

ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど) - Know VPD!

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン こどもとおとなのワクチンサイト

 

HPVワクチンの歴史はまだ浅く、世界で初めて発売されたのは2006年。

「がんをワクチンで予防できる時代になった!」と評される、画期的な出来事でした。

日本で承認されたのは2009年。

2013年4月に定期接種として導入されましたが、その後のことは皆さんもある程度ご存知でしょう。

 

ワクチン接種後、身体の痛み、けいれん、意識障害、記憶障害など、『多様な症状』を訴える人が出たことが、次々に報道され始めます。

センセーショナルに映し出される、サングラスをかけ、車イスに乗る少女たちの姿。

それらは、ワクチンへの恐怖と怒りを引き出すのに十分でした。

定期接種導入からわずか2か月後の6月14日、厚生労働省は「積極的な接種勧奨の差し控え」を決定。

その後、数々の調査や研究が進められ、ワクチンと副反応とされる『多様な症状』に、明確な因果関係は認められないことが明らかになりました*4

しかし、積極的勧奨が再開されることはなく、接種率は低迷を続け、子宮頸がんの罹患者は増え続けています。

こうした状況は、WHOからも名指しで批判されていますし、日本国内でも様々な団体から声明が出されています。

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種の早期の勧奨再開を強く求める声明|公益社団法人 日本産科婦人科学会

https://www.primary-care.or.jp/imp_news/20190115.html
(日本プライマリ・ケア連合学会による声明)

 

一方、HPVワクチン先進国のオーストラリアでは、将来的に子宮頸がんを撲滅することができるかもしれないという研究も報告されています。

2028年、オーストラリアから子宮頸がんが消える? HPVワクチン接種と検診で、激減する子宮頸がん(片瀬ケイ) - 個人 - Yahoo!ニュース

オーストラリアにおける子宮頸がん撲滅までの予測期間:モデリング研究 | kanagawacc

news.yahoo.co.jp 

しかし、これらはおそらく、アンテナを張っておかなければ入ってこない情報でしょう。

積極勧奨が控えられたままの現在、意識的に情報を集めて検討する人とそうでない人の溝は大きく、これが将来的にどのような影響をもたらすのか、医療関係者を始め、多くの人が懸念を抱いています。

 

私がHPVワクチンを接種したワケ

 きっかけは「子宮頸がんワクチン、あんたも打てるなら打っといたら?」という母の一言でした。

2013年4月から、定期接種への導入が決まって話題になっていたので、それを受けて私に声をかけたのです。

後から知ったことですが、親類に子宮頸がんを患った人がいたことも影響していたよう。

私自身、かかりつけの婦人科でポスターを目にしていましたし、癌を予防できるという画期的なワクチンが気にはなっていました。

 

子宮頸がんの怖さと残酷さは、妊娠出産に大きな影響を与える点だと思っています。

進行度が初期で、円錐切除によって根治できたとしても、流産早産のリスクは格段に高まります。

程度によっては子宮、卵巣の全摘出が必要になり、そうなれば妊娠出産は不可能になりますし、手術の影響でストーマになった事例も知っています。

もちろん、妊娠出産が全てではありませんし、子宮や卵巣を摘出したからといって、女性としての価値が失われるわけでもありません。

でも、QOLには確実に影響が出ます。

生涯、再発や転移の不安を抱えていかなければならないことにもなるでしょう。


ちょうど、ピルの定期診察と血液検査を受けるタイミングがあったので、私はそこで先生に相談。

ワクチンによってできるのは新たなウイルスの予防であり、既に感染したものを排除することはできないこと、ワクチンを打ち切るまでは避妊が必要なこと、ワクチンによって不妊になる怖れはないこと等、ワクチンに関する情報や注意点について説明してもらいました。

接種するなら2価と4価から選べるので、両方の資料を持ち帰って検討するようにと言われました。

 

子宮頸がん検診は定期的に受けているし、ひっかかったこともない。

3回の接種にかかる費用約5万は、当然全額自費。

パートナーも固定されているし、受けても受けなくても、結果は変わらないかもしれない。

まだまだ歴史の浅いワクチン、決して安くない額を払う効果は果たしてあるのか…

 

いろいろと考えましたが、私の出した結論は「接種して安心を買う」というものでした。

将来的に子どもを持つことを希望していた私は、「妊娠と同時に子宮頸がん発覚」という事例がどうしても頭から離れなかったのです。

現時点で、子宮頸がんを発症するリスクは低い。

ワクチンを接種すれば、恐らくその可能性をより低くすることができ、何より「打った」という事実が、精神的な支えになる。

そう判断してのことでした。

 

HPVワクチン接種体験記

私が接種したのは、4価のガーダシル。

これは単純に、せっかく打つなら多くの型に対する効果がある方がいいと思ったから*5

実際に接種した際の説明文と予診票が残っていたので、個人情報を伏せて添付します。

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注意事項

1回目の接種は1月29日。

左肩への筋肉注射で、皮下注射や採血より痛みが強かった気がします。

また、当日は少し痛みが残っていましたが、その他に気になる症状はなく、翌日には痛みも軽快しました。

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2回目は4月3日。

実は、直前に全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が設立されるなど、副反応報道が活発になっていた頃。

全く気にならなかったといえば嘘になります。

でも、1回目の接種で特に問題はなかったですし、高いお金を払って打ち始めたものを中途半端なところで止めるのがイヤで、予定通り接種しに行きました。

接種は同じく左肩で、やはり少し強めの痛み、そして、左腕から指先にかけて軽いしびれを感じました。

しびれはしばらくしておさまったものの、その夜、お風呂で頭を洗おうと腕を上げると、左肩に痛みが走りました。

前回よりも痛みが強く残っているような気がして、報道のことを思い出しました。

因果関係はないと言われているから大丈夫と思う気持ちと、もしかしてという不安。

ここから約1週間、何もしていなければ問題ないものの、腕を上げるのが少しツラい状態になり、左肩を気にする日々が続きました。

ちなみに、私はどんな注射や採血、点滴も、指定がなければ左側にしてもらっています。

右利きであるというのが最大の理由ですが、当時は特に、調律師として右腕を上げる姿勢を取ることが多かったため。

この時、左にしておいてよかったなと心底思っていました。

結局、1週間ほどで自然と痛みは引いていき、ほっと胸をなでおろしたのでした。

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そして、積極的勧奨が中止された後の7月31日、最後となる3回目の接種を受けました。

これもやはり左肩にしてもらい、2回目同様、痛みと軽いしびれを感じました。

ですが、しびれはすぐにおさまり、痛みも2日ほどで軽快。

2回目はなんだったんだろうと思うほど、あっけないものでした。

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これは私の勝手な見解ですが、2回目にあれだけ痛みが長引いた背景には、やはり報道の影響があったのだろうと考えています。

大丈夫だろうと思ってはいても、もしかしたらという思いはどこかにありましたし、1回目とは違って、必要以上に接種部位を気にしていたように思います。

腕を何度も上げてみたり、不必要に動かしたり、そんなこともしていました。

それに比べて3回目は、2回の積み重ねで迷いや不安がなくなり、痛みをそこまで気にすることもありませんでした。

2回目接種後の症状は、言わば「心因性」だったと言えるのではないでしょうか。

心因性」と言うと「気のせい」のように捉えらえてしまいがちですが、そうではありません。

心と体は連動していて、極めて微妙なバランスで成り立っているということなんだろうと思っています。

 

HPVワクチン編 まとめ -HPVワクチンを接種して、二児の母になった私が今望むこと-

冒頭でも述べたように、私はHPVワクチン推奨派です。

誰の元にも平等に正確な情報が届き、一人一人がきちんと検討して判断できるようになるため、またその判断が尊重される土壌を整えるためにも、積極勧奨が再開されることを強く望んでいます。 

さらに、男女とも定期接種になって接種率が上がれば、オーストラリアで予想されているように、子宮頸がんは稀な疾患になると信じていますし、そんな日が来ることを心から願っています。

 

ただ、別に全員が全員、絶対に打たなければいけないと思っているわけではありません。

あれだけセンセーショナルに繰り返し報道されたワクチン、不安を持つ気持ちも十分理解できます。

でも私は、それ以上に子宮頸がんが怖かったし、防ぐ術があるなら手を打っておきたかった。

「子宮頸がん検診をきちんと受ければ、HPVワクチンは必要ない」という意見もありますが、私はそうは思いません。

検診によってできるのはあくまで早期発見。

子宮頸がんそのものを防ぐことはできませんし、不幸にして検診と検診の間に発症し、進行してしまう可能性だってないとは言えません。

現状、子宮頸がんを防ぐ効果が期待できるのはHPVワクチンの接種だけ。

だからわざわざ自費接種したんです。

 

HPVワクチンは、他の定期接種ワクチンと大きく異なる点があります。

それは接種対象年齢。

ある程度、自分で判断できる段階になっているというところです。

だから私は、娘たちが接種対象年齢になったら、必要な情報は全て与え、自分で納得いく判断をしてもらおうと思っています。

もちろん、私自身はワクチンの有益性を信じているし、接種してほしいと思っているので、多少のバイアスはかかってしまうでしょう。

でも、なるべく中立にたって話したいと思っていますし、仮に「受けない」という判断をしたとしても、それはそれでいいと思います。

逆に、日本ではまだ認可されていないガーダシル9*6が、その時点でなお認可されていなくても、娘たちが希望すればなんとかして打てるように手を尽くすつもりで*7

そしてこれは、私の子どもが男の子だったとしても、きっと同じだと思います。


そのためにも、判断材料となる情報は客観的で正確でなければ困るし、必要以上に恐怖心を煽るような書き方は望ましくない。

まして、明らかなデマなんて論外。

特に私は、「HPVワクチンで不妊になる」というデマがどうしても許せません。

それは、私が不妊治療経験者だから。

 

少しでも知識や経験のある方にはわかっていただけると思いますが、メンタルが原因で簡単に生理周期が崩れてしまうように、妊娠するか否かにもメンタル面は大きな影響を与えます。

わずか2ヶ月という短期間ではありましたが、積極勧奨が行われていた時期に対象年齢だった世代は、まさに今、出産適齢期に差し掛かってきた頃になると思います。

「HPVワクチンで不妊になる」というデマに、少なからず不安を抱えている人もいるでしょう。

実際不妊に悩んだ時、「HPVワクチンを打ったからだ!」と言われ、思い悩み、傷つくことだってあるかもしれません。

マイナスの意識は、いとも容易く心身にダメージを与えます。

私はそれが本当に気がかりでならないのです。

 

「ワクチンで自閉症になる」というデマが、何本論文が出ても消えないように、おそらく「HPVワクチンで不妊になる」というデマも根強く残り続けるでしょう。

それでも、私の経験が、接種を迷う方、問題なく接種したもののどこかで不安を抱えている方に届き、少しでもその不安を和らげる助けとなるのなら、私はHPVワクチンを接種して二児の母になった」という事実を訴え続けていきたいと思っています。

*1:2013年6月以降、「定期接種のお知らせ」は届かないものの、希望すれば小学校6年生~高校1年生相当の女性は無料で受けることができます。

*2:東京、大阪、名古屋、福岡の4つの地方裁判所で国と製薬会社2社に対して賠償金を求める集団訴訟が起こされています。また、HPVワクチンに関する研究について、雑誌記事に「捏造」と書かれたことを名誉棄損として訴えた裁判は、雑誌と記者側の全面敗訴となり、記者単独で控訴しています。参考記事→https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/ikeda-muranaka-hanketsu

*3:HPVワクチンの接種は男女とも効果があると考えられており、女児だけでなく、男児の定期接種に組み込んでいる国もあります。

*4:「薬害である」ことを証明しようとした名古屋スタディでも、因果関係なしという結論になり、紆余曲折した末、国際ジャーナルに掲載されています。参考記事→【速報】HPVワクチンと「副反応」に関係がなかったことが明らかに!~「名古屋スタディ」の成果~ | ハフポスト

*5:同じ理由で娘たちのロタワクチンもロタテックを選択しました。

*6:私が接種したガーダシルでカバーできる16.18.6.11型に加え、31.33.45.52.58型の計9価に対応できるワクチンで、海外ではこれが主流となっています。

*7:現在でも、一部医療機関で輸入ワクチンを接種することができます。ただし、定期接種対象年齢でも当然自費です。

性を語ろう 婦人科通院編

「性を語ろう」シリーズ第3弾。

婦人科は「妊娠して初めて通うところ」という認識の方も、まだまだ少なくないようですね。

生理が始まったらかかりつけの婦人科を作るのが当たり前になることを願って、私の婦人科通院遍歴を語ります。

 

婦人科デビュー

私が婦人科に初めて行ったのは、大学に入ってすぐの頃。

入学後の健康診断で生理不順であることを伝えると、「婦人科に行くように」との指導を食らいました。

生理痛がそこまで重いわけでも、PMSに悩まされているわけでもなく、母親も生理不順でありながら3人産んでいるということもあり、私自身はそこまで気にしていなかったので、行けと言われて仕方なくという感じでした。

 

婦人科へ行くと、基礎体温をつけ、定期的に受診するよう指導されました。

最初は真面目につけていましたし、何度か通院した記憶もあります。

が、基礎体温をつけ続けるのは面倒だし、妊娠するような行為をする相手もいないし、不順とは言え自力で来ているし…といつの間にか通院をやめてしまいました。

 

そして月日は流れ、20歳を超えた頃、3か月生理がこないという事態に直面します。

幸か不幸か「妊娠した!?」という心配はこれっぽっちもありませんでしたが、さすがに不安を覚え、重い腰を上げて再受診することに。

先生には「どうして通わなくなったの」と怒られ、ここで痛感したことがひとつ。

私が通院をやめてしまったのは、たぶん先生との相性が良くなかったから。

とは言え、当時の私には他の婦人科をあたるという選択肢が思いつかず、卒業までこの婦人科に通い続けることになります。

 

生理不順で受けた治療

改めて基礎体温をつけ始め、月に数回通院する日々。

低体温ぎみだということで漢方薬を処方され、無排卵状態との診断で排卵誘発剤を飲むという治療が始まりました。

詳しい薬剤名を忘れてしまったのですが、とりあえず1錠飲み、生理がこなければ排卵誘発剤を注射され、次の生理周期では2錠飲む。

2錠で安定してくるようになったら1錠にして、こなければ注射。

結局、排卵誘発剤は2度打たれ、通院から半年程度で1錠に落ち着いたように記憶しています。

 

正直に言います。

この治療、本当に必要だったのかと疑問に感じています。

妊娠を希望していなければ、無理に排卵させる必要もないし、ピルを飲んで、周期を安定させればよかったんじゃないかなと。

ただ、当時の私には今ほどの知識や情報がなく、先生に意見することなどできるわけもありませんでした。

常に大混雑で待ち時間が1時間を超えることも珍しくなく、いつもどんよりした気持ちで通院していたことを、今でもよく覚えています。

 

転院

大学を卒業して実家に戻ることになり、当然病院も転院することに。

紹介状をいただいて、実家から通える範囲の婦人科を受診しました。

すると、まず最初に「血液検査とかしたことある?」と聞かれました。

え、約2年通ったけど、そんなの1回もしてない…

ちょっとした衝撃を受け、そのことを話すと、「とりあえず、血液検査してみましょう。生理期間中に来てください。」とのこと。

改めて受診し、血液検査を受けたところ、「特に数値に問題はない。今すぐ妊娠を希望しているわけじゃなく、今のところ自力で生理も来ているなら、様子を見たらいいんじゃないですか」と言われてしまいました。

今までの治療はなんだったんだろうなと思いつつ、大きな問題もなく、通院しなくていいならラッキーと感じ、婦人科からの足は遠のきました。

白状します。

やはりここでも先生に苦手意識を感じていました。

そしてこの後、私がこの婦人科を訪れることはありませんでした。

 

初めての子宮頸がん検診

次に婦人科へ行ったのは、市役所から「子宮頸がん検診クーポン」が届いたから。

ACジャパンで子宮頸がんの啓発が積極的に行われ、女優の向井亜紀さんが妊娠と同時に子宮頸がんが発覚し、子どもを諦めて子宮を摘出した話など、子宮頸がんの話を聞く機会も増えていた頃。

話を聞くたび、「自分は大丈夫だろう」という根拠のない自信と、「もしかしたら…」という少しの不安を感じていました。

でも、何もなければ、たぶん自分から検診に行こうなんて思わなかったでしょう。

そこに届いた、検診のお知らせとクーポン。

関西人の例に漏れず、「無料なんだから行っとこう」と思うには十分でした。

 

お知らせには、クーポンが利用できる医療機関が載っていました。

実家に戻ってすぐに行った婦人科も対象ではあったのですが、どうしてもそこに行く気にはなれず、他の医療機関を検討しました。

この頃には、ネットでの口コミサイトや各医療機関のHPがかなり充実してきており、自分なりにいろいろ調べることができました。

もちろん、実際に受診してみなければ、先生との相性はわかりません。

ただ、口コミとHPの雰囲気で、なんとなく「ここは違うな」と思うこともあるわけで、下調べは大事ですよね。

 

実は婦人科には何度も行ったことがあるのに、内診は未経験だった私。

「婦人科」というと、内診は絶対されるものというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。

初めての内診台に少しドキドキしながら、子宮頸がん検診とついでのエコー検査を受けました。

「内診台ってこんな風に動くのか!」「子宮ってこんな風に見えるのか!!」なんていう謎の感動を覚え、心配していた痛みも大したことはなく、あっという間に検診終了。

先生を始め、スタッフの皆さんの雰囲気も優しく、ここにして良かったなと思いながら座った待合室。

ここで、私はたくさんの冊子と出逢います。

「生理のミカタ」「PMS」「STD」「OC」「IUS」…

もともと知的好奇心旺盛で、常に新しいことを学んでいたい人間。

ちらっと読むと想像以上に面白くて、それらの冊子を1冊ずついただいて婦人科を後にしました。

この出逢いが、「選ぶかどうかは個人の自由。でも、知らなければ選びようもない。知らないなんて損だ!」と思うようになる、第一歩だったのです。

 

婦人科通院編 まとめ

きっと、どの科でも先生との相性は大事だと思います。

特に婦人科というデリケートな科では、病院や先生の雰囲気、信頼して話せ、自分の身体を任せられるかが大きなポイントでしょう。

私が通った3つの婦人科、先生は女性、男性、女性でした。

つまり、女性医師でも苦手に思うことはあるわけです。

最初の受診のハードルは下がるでしょうが、絶対条件ではありません。

自分に合う病院、信頼できる先生が見つかるまで、可能な限り病院を回ったっていいと思います。

 

婦人科は、妊娠してもしなくても、女性が何かとお世話になるところ。

お付き合いはほぼ一生ものです。

誰もが当たり前にかかりつけ医をもち、気軽に通える場になればいいなと思います。

性を語ろう ミレーナ編

「性を語ろう」シリーズ第2弾

今回は、私が現在進行形で使用しているミレーナについて語ります。

 

ミレーナって何?

正式名称は「ミレーナ®52mg」、実は商標名です。

子宮内システム(IUS: Intrauterine System)というのが製剤名。

IUSのメカニズムについて、詳しくはこちらをご確認いただくとして…

www.hininno-susume.jp
こちらも簡単にまとめておくと

  • 子宮内に装着し、最長で5年間使用できる
  • 子宮内にのみホルモンを放出し、内膜が厚くなるのを防いで着床を阻止
  • 同時に粘液を変化させ、精子の侵入を防ぐことで避妊効果を上げる
  • 内膜が厚くならないので、月経量が格段に減り、無月経になる人もいる
  • 装着が適さない人もおり、マイナートラブルもある
  • STD(性感染症)は防げないので、コンドームとの併用が必要

といったところです。

日本では2007年から自由診療で用いられるようになり、2014年からは過多月経や月経困難症*1で保険適応となりました。

避妊の場合は適応外で約5万円、保険適応で1万円弱になります。

世界約130カ国で、延べ約3,900万人の女性が使用していますが、日本ではまだまだ認知度も低く、どの婦人科でも扱っているわけではないのが現状です。

 

私がミレーナを使うワケ

私がミレーナの使用を決めたのは、実は二女妊娠中のこと。

悪阻がひどく、ほぼ寝たきりのような状態に陥り、あまりの辛さに「この子が無事に生まれたら、二度と妊娠なんかするもんか!」と強く思ったのでした。

何より効果の高い避妊法として、避妊手術(卵管結紮*2)があげられ、私の身近でも、産後すぐにこの手術を受けた人がいます。

ただしこれは、これ以上の妊娠出産はリスクが高いと判断されたため。

私の場合、子どもは2人でいいと思っていても、何年かしたら最後にもう1人ぐらい…と思うかもしれないと考えていました。

事実、今はあと3年ぐらいしたら、令和生まれが1人ぐらいいてもいいかななんて思っています(笑)

また、避妊効果はほぼ100%ですが、卵巣機能に影響を与えるものではないので、生理は普通に来るのです。

 

妊娠中、悪阻を筆頭に様々なマイナートラブルに襲われ、本当に大変な思いをしましたが、唯一といっていいぐらい楽だったのは生理がないこと。

私はPMS(月経前症候群)や生理痛がそこまでひどいほうではありませんでしたが、ピーク時に鎮痛剤を飲む程度には痛みがあり、決して気分のいいものではありません。

特に、長女出産後に生理が再開すると、痛みや吐き気があっても子どもの相手はしないといけないし、出血があってもお風呂に入れないといけないということが、本当に鬱陶しく感じられました。

私が望んでいたのはほぼ確実な避妊効果ですが、それと同じくらい「生理がこない」というのが魅力的だったので、ミレーナの使用を決意したのです。

 

ミレーナ使用体験記

装着まで

ミレーナは子宮内に装着するものですので、当然自力でできるわけではありません。

娘たちを出産した病院で相談したところ、ミレーナは取り寄せになると言われ、装着に消極的な様子でした。

そこで、他の病院に電話で問い合わせ、扱いがあることを確認して受診。

ミレーナは生理終了から排卵までの間に装着しなければいけないとのことで、タイミングを見計らって再受診することに。

授乳中は子宮が収縮しているので、うまく入らないかもしれないよと言われましたが、卒乳を待つのも嫌だったので、とりあえず入れてみてくださいとお願いしました。

 

ミレーナはT字型ですが、もちろんこの状態で子宮に入れるわけではありません。

子宮頸がん検診時のように器具で子宮口を開いて消毒、筒状に閉じた状態で子宮に挿入し、中でT字型に開く仕組みになっています。

経産婦に向いているのはこのため。

やはり、一度子宮口が開いた経験があるほうが、装着しやすいからなのです。

ただ、未産婦でも対応してくれるところはあるようですし、逆に経産婦でも帝王切開だった場合は受け付けてもらえないこともあるそうです。

 

装着にあたって、皆さんが気になるのは、おそらく「痛み」ではないでしょうか。

子宮頸がん検診の経験があれば、子宮口を開けるところまではなんとなく予測できるかなと思います。

器具を使いますので、もちろん違和感はありますし、敏感な方は多少の痛みがあるかもしれません。

私の場合、ここまでは大した痛みがなく、実際に装着する際、生理痛のような重い痛みがありました。

でも、その痛みもほとんど一瞬。

それ以上に、何か入ってきた!という異物感のほうが強かったですし、卵管造影検査*3のほうがよっぽど痛かったです。

さらに言えば、人生最大の痛みは陣痛ですので、それに比べれば蚊にかまれたようなもの(笑)

ちなみに、内診台に上がってから装着完了まで、5分程度でしょうか。

予想以上にあっという間で、拍子抜けするほどでした。

 

装着から検診まで

装着が無事に完了し、注意事項*4を聞いて帰宅。

そこから、生理痛のような鈍い下腹部の痛みは2~3日続きました。

また、ホルモン剤の影響で、2か月程度不正出血が続きました。

出血量は夜も昼用のナプキンで賄えるぐらいでしたし、痛みはなかったので、出血が収まるまでちょっと面倒だなと感じる程度でした。

 

ミレーナを装着したのは9月初旬。

痛みや初期の不正出血以外の出血がなく、特に問題がなければ年内に1度チェックに来るようにと言われていたので、12月に入ってから検診に行きました。

初期の不正出血が収まってから、おそらく1度は生理が来ていたはずですが、「これが生理!?」とびっくりするほど経血量は減り、生理痛等も全くなくなっていました。

先生からも「楽になったでしょう」とのお言葉をいただき、きちんと正しい位置に留まっているか、その他問題がないかをエコーで確認してもらいました。

この後、ミレーナのチェックは子宮頸がん検診と同じタイミングでいいよと言われています。

もちろん、痛みや出血等、何か気になることがあれば受診が必要ですが、今のところ問題なく過ごせています。

 

ミレーナのメリット・デメリット

メリットとデメリットについて、こちらにうまくまとまっていますが、ここには載っていないこと、私が使用していて感じるメリットとデメリットについてお話しします。

www.hininno-susume.jp

メリット

・生理からの解放

もう、ミレーナの何がいいって、これに尽きると言ってもいいぐらい。

ミレーナ装着から10ヶ月近く経ちますが、もはや生理なのか不正出血なのかわからないレベルにまで経血量が落ちています。

少し心配かなと思う夜は昼用ナプキンを使っていますが、基本的にはパンティライナーで十分対応できます。

生理痛もありませんし、何よりお風呂の心配がなくて、とにかく快適。

乳幼児の育児中で、これ以上の妊娠を望んでいない、もしくは少し期間を空けたいなら、私はミレーナ一択だと思っています。

 

・抜群のコストパフォーマンス

保険適応であれば1万弱で装着可能で、その後の受診を考えても年間2万かからない計算。

適応外の場合は5万を超えますが、最長5年使用できると考えれば、年1万弱といったところになります。

また、生理用品がほぼ必要ない状態になるので、その経費も浮くわけですね。

前回取り上げたピルは、適応外で年間5万。

さらに生理(らしき出血)はあるので、生理用品は当然必要。

比較すれば明らかなように、ミレーナは抜群のコストパフォーマンスを誇るのです。

 

・授乳中でも問題なし

 ピル編で触れ忘れてしまったのですが、ピルはホルモン剤なので、授乳中には服用できません。

それに対してミレーナの場合、ホルモン剤の影響は子宮内に限定されるので、授乳中でも問題なく装着することができます。

入りにくいかもしれないという問題さえクリアしてしまえば、定期検診を忘れないようにするぐらいしか気にすることはありません。

 

デメリット

・生理周期がわからなくなる

これはある意味皮肉なことではあるのですが、生理がないに等しい状態になってしまうと、健康診断を受けたり他科を受診した際、ひとつ困ってしまうことが…

それは、最終月経を書く欄がある時。

私自身はまだそうした場面に出会ったことはないのですが、正直書きようがないですよね。

おそらく「ミレーナ使用中のため不明」とでも書くことになると思いますが、婦人科でも取り扱いのないところがあるほど、まだまだ知名度の低いミレーナ。

この回答で理解してもらるのか、説明して納得してもらえるのかが不安なところです。

 

PMS対策には向かない

ミレーナのホルモン剤は子宮内限定。

ということは、脳からのホルモン分泌には影響せず、そちらが主な原因であるPMSには効果がないということになります。

経血量はガクッと落ちるので、生理中の諸症状は改善されると思いますが、PMS対策にはミレーナよりもピルが勧められています。

 

ミレーナ編 まとめ

私は経産婦の友人に、積極的にミレーナの話をしています。

ピル編でも述べたように、選ぶかどうかは個人の自由。

でも、知らなければ選びようもない。

ただでさえ体力的にも精神的にも大変なことの多い育児中、少しでも快適に過ごせる可能性があるなら、それを知らないのは損ではないでしょうか。

私自身、ミレーナひとつでこんなにも快適に過ごせるのかと感動していますし、もっと一般的になればいいのになと思っています。

数年後、ミレーナを外して人生最後の妊娠を望むか、そのまま継続して使用するかの判断をすることになると思います。

仮に妊娠を望んだとして、それが叶っても叶わなくても、いずれまたミレーナを使うことになるでしょうし、問題がなければ閉経までお世話になるつもりでいます。

今後ミレーナの認知度があがり、誰もが気軽に選べる選択肢のひとつになってくれれば、これほど嬉しいことはありません。

*1:生理中に鎮痛剤が必要なら、月経困難症と判断していいと思います。

*2:らんかんけっさつ。卵管を縛る、切断する等の方法で、卵子が受精する機会を奪う。一度手術すると元に戻すのは困難。

*3:不妊に関する検査のひとつ。詳しくは不妊治療編で解説します。

*4:ここで「旦那さんが痛みを感じる場合がある」と聞き、ちょっとした衝撃を受けました。これは、ミレーナを取り出すためのワイヤーを、子宮口から少し出た状態にしているため。このワイヤーは時間とともにやわらかくなり、子宮の壁に張り付いたような状態になるそうです。仮に男性が痛みを感じるようであれば、短く切ることもできるそうです。

性を語ろう ピル編

はじめに

先日、NHKニュースにこんな話題が取り上げられました。

www3.nhk.or.jp

ピルを服用する高校生が、「授業でピルの話になった時、先生が『皆さんの中で飲んでる人はいないと思うけど』と言われて悲しくなった」というツイートを取り上げ、ピルについて正確な情報が広まることを願う内容になっています。

 

私はピル服用経験者です。

二児の母となり、今はミレーナ*1を使用しています。

大学時代には生理不順で婦人科通院し、結婚前にはHPVワクチンを自費接種、結婚後は不妊治療も経験しました。

おそらく、婦人科に関する知識や経験が人より豊かなほうだと思いますし、女性が主体的にバースコントロール*2することが、いかに女性のQOL(生活の質)を上げるかを身を持って知っています。

生理はどうしようもないとあきらめるものではありません。

婦人科に通うことも、女性が自らバースコントロールすることも、決してやましいことではありません。

今もなお、婦人科受診のハードルが高く、偏見も強い状況が少しずつでも改善されることを願って、これから何度かに分けて、自身の体験談をまとめていきたいなと思います。

なお、このブログはあくまで私個人の経験と見解を述べるものであり、ピル服用やミレーナ使用、HPVワクチン接種を押し付ける気は一切ありません。

ご自身できちんと検討し、医師と相談したうえで、適切な判断をしていただければと思います。

 

私がピルを飲んだワケ

私がピルを飲もうと思ったのは、夫と付き合い始めたことがきっかけでした。

当時25歳、私は紆余曲折してようやくたどり着いた*3調律師の仕事が、少しずつ自分のものになって楽しくなっていた頃。

また、夫はまだ学生で、結婚を視野に入れてはいたものの、将来を考えられる状態にはありませんでした。

もちろん、妊娠するような行為をしなければ済む話ではありますが、いい大人がプラトニックを貫けるかと言えば、難しいだろうことは理解していただけるところでしょう。

絶対に妊娠するわけにはいかないし、不安要素を取り除けるならそれに越したことはない。

そう思い、ほぼ確実な避妊効果*4の望めるピルの服用を決めたのです。

 

幸い、私の通っていた婦人科では、避妊目的ということに対してとやかく言われることはなく、ピルのメリットとデメリット、服用にあたって必要なことや注意点を丁寧に説明してもらえました。

ここでもし「避妊目的なんて…」と言われたら、後ろめたく思って諦めてしまう人もいるでしょう。

まぁ、私自身は事前にきちんと下調べしていましたし、服用の意思は固かったので、反論するか病院を替えるぐらいのことはしたと思いますが。

そんなこんなで、ピル服用に向けて動き始めたのでした。

 

ピルって何?

そもそもピルって何ぞやという方もいるかもしれませんね。

経口避妊薬のことで、現在は低用量ピルが主流、英語の頭文字をとってOC(Oral Contraceptive)と呼ばれることもあります。

ピルのメカニズム等については、こちらが詳しく分かりやすいので、ぜひご一読いただきたいと思います。

www.hinin-style.jp

簡単にまとめると

  • 1日1錠飲むホルモン剤
  • 排卵抑制、着床阻止、精子侵入阻止という3つの仕組みで、高い避妊率を実現
  • 基本的に、21錠タイプと28錠タイプがある*5
  • 服用が適さない人もおり、マイナートラブルもある
  • STD(性感染症)は防げないので、コンドームとの併用が必要

こんなところでしょうか。

子宮内膜症等の治療に使われることもあり、不妊治療の前段階として、生理不順を整えるために使っていたという人もいました。

治療に用いる場合は保険適応されますが、避妊目的は適応外。

私が服用していたころは、1シート(1ヶ月分)3000円程度でした。

 

ピル服用体験談

まずはピル服用可能かどうかの問診を受け、服用方法や注意事項等の説明を受けます。

服用することが決まったら、まずは1シート(1ヶ月分)からスタート。

基本的にピルを飲み始めるのは生理開始日なので、生理が来たら服用を始め、1シート飲み終わる前までに受診し、飲み続けていけるかを判断。

その後は3シートずつ購入していき、半年に1度は診察と血液検査を受けていました。

 

私が飲んでいたのは28錠タイプのトリキュラーというものでした。

シートに曜日のシールが添付されており、偽薬も含めて連続して飲んでいけるので、飲み忘れを起こしにくいのがありがたかったです。

とは言え、飲み忘れたことがないわけではありません。

ただ、2日連続で忘れることはさすがになかったので、特に問題はありませんでした。

それよりも、かなり小さめの錠剤なので、うっかり落としてひやっとしたことのほうが多い気がします。

 

私は飲み始めのマイナートラブルもほとんどありませんでしたし、約3年間飲み続けましたが、血栓症を起こすこともありませんでした。

かつて、ピルを飲むと太りやすくなると言われたこともありますが、そういったこともありませんでした。

日々の習慣になってしまえば、そう面倒に思うこともなく、婦人科の定期検診を受ける機会もできて良いなぐらいに思っていました。

 

ピルのメリット・デメリット

一般的なメリットとデメリットはこちらでご確認いただくとして、ここでは、私自身が服用していて感じたメリットとデメリットをまとめたいと思います。

www.hininno-susume.jp

 

メリット

  • 生理周期の安定は精神の安定にもつながる。

私は元々生理不順で、きっちり1ヶ月で来るときもあれば、2ヶ月空くことも珍しくありませんでした。

そんな状態だったので、所謂「危険日」的なものはさっぱり読めません。

女性の生理周期は、精神状態に左右されることもありますし、コンドームだけの避妊では、びくびくしながら過ごさないといけないことは目に見えていました

でも、ピルを正しく飲んでいることで不安に思うことはなかったですし、ホルモンバランスも整うので、精神的にも安定して過ごすことができました。

 

  • 生理周期が読めるので、予定が立てやすい。

ピルの服用を続けていると、「ここからここまでが生理!」とほぼ確実に読めるようになります。

すると、旅行や大切な仕事はそこを避けて組むことができるわけです。

昔々、「女子は試験や試合の結果も生理に左右される」といった話を聞いて本当に不公平だなと思っていましたが、ピルを使えばこれも避けることが可能です。

定期的に飲み続ける以外に、一時的に飲んで生理をずらすといったこともできるので、個人的には、学生さんにこそうまく活用してほしいなと思っています。

 

デメリット

  • とにかくお金がかかる。

先にも述べましたが、避妊目的の服用は保険適応外。

1ヶ月3,000円弱ですから、単純計算で1年当たり約4万円の出費になります。

定期的な診察や血液検査も必要なので、実際には年間5万近くかかっていたはずです。

必要経費と思っていても、やはりこの出費はかなり痛かったですね。

ちなみに、これが保険適応されたとして、3割負担で年間15,000円程度はかかることになります。

これを高いと思うかは人によると思いますが、やはり、ある程度の負担にはなるかと思います。

 

  • 説明が面倒

病院を受診して薬を処方された際、「他に飲んでいる薬はありますか?」と聞かれると思います。

ピルも当然服用中の薬にあたりますし、併用すると血栓のリスクを高める薬*6もあるので、申告が必要です。

その時、かなりの確率で「子宮内膜症か何かの治療ですか?」と聞かれました。

一般のイメージとは違い、治療薬としてきちんと認知されているのはさすが。

ですが、毎回「避妊目的です」と答えるのも、「あぁ」と反応されるのも、正直面倒でした。

他に治療中の疾患がないかどうか把握することは大切ですし、どんな返答なら良かったのかと言われると困るところではあります。

ただ、「あぁ」の中になんとなくマイナスの印象が感じられて、それがいつも少し残念でした。

 

ピル編 まとめ

私がピルを服用していたのは、もう随分前の話になります。

医学は日々アップデートされていますし、1人1人事情も違えば考え方も違います。

飲みたくても飲めない人もいれば、絶対飲みたくないという人もいるでしょう。

 

ただ、私はこう思うのです。

選ぶかどうかは個人の自由。

でも、知らなければ選びようもない。

そして、個人が選んだことに対して、他人がとやかく言うのはおかしい。

 

避妊目的の低用量ピルが日本で認可されてから約20年、まだまだ正確な情報が普及しているとは言い難い状況です。

「ピル=避妊」「女性主体の避妊=ビッチ」という偏見も根強くあります。

私自身は微塵も後ろめたさを感じていなかったので、親にも友人にも堂々と話していましたが、これはかなりレアなケースでしょう。

正確な情報が広まることはもちろん、女性が主体的にバースコントロールすることが市民権を得なければ、ピルへのハードルは下がらないのではないかと思います。

治療目的であれ避妊目的であれ、ピルを飲むことが決して珍しいことではなく、堂々としていられる社会になることを願ってやみません。 

*1:ピルの高い避妊効果と子宮内避妊用具の長期にわたる避妊という効果を併せ持つ子宮内システム。後日、ミレーナ編として更新予定です。

*2:日本語では産児制限や受胎調整と言われ、避妊のほか、不妊手術や人工妊娠中絶等も含まれる。ここでは、いつ妊娠出産するかを自ら決定し、そのために避妊したり、妊娠に向けた行動をとることを想定しています。

*3:大学卒業後、大学院へ進学するも進路を再考して退学。一念発起して専門学校へ入ったという経緯があります。

*4:ピルを正しく使用した場合の避妊率は約99.7%。一般的な避妊法のコンドームは約98%ですが、適切な使用ができていないことのほうが多く、実際の失敗率はかなり高いです。

*5:最長で連続120日間飲める(生理を止める)ものもあります。

*6:口内炎やのどの痛み等に用いられ、市販薬に含まれるものもあるトラネキサム酸は、アメリカでは併用禁忌となっています。

【子ども科学電話相談 先生名鑑】小菅正夫先生

「子ども科学電話相談」レギュラー化記念

個性あふれる先生方を好き勝手に紹介する【先生名鑑】

 

小菅正夫先生 (動物担当)

1948年北海道生まれ。北海道大学獣医学部卒。獣医師。

大学卒業後、旭山動物園へ就職。飼育係長、副園長を経て2009年に園長へ就任。閉園の危機にあった同園を再建し、入園者数においても日本有数の動物園にまで育て上げた。

2009年に定年退職し、現在は札幌市円山動物園参与を務める。

 

「奇跡の動物園」としてドラマになったこともある旭山動物園、ご存知の方は多いでしょう。

動物の自然な生態を見せる「行動展示」を取り入れ、閉園の危機から一転、日本一の動物園にまで育て上げたのが、小菅先生その人です。

現在、どの動物園でも「行動展示」が一般的になりつつあり、私たちは動物の様々な姿を見ることができるようになりました。

それは、小菅先生と旭山動物園のスタッフの方が取り入れ、試行錯誤した成果あってこそ。

日本国内だけでなく、海外からも動物園関係者が視察に訪れているという旭山動物園、いつか家族旅行で行ってみたいものです。

 

さて、そんな素晴らしい実績をお持ちの小菅先生、おもしろエピソードに事欠かないお方でして。

  • 高校時代、北大の柔道部でよく練習する機会があり、北大柔道部に入りたいがために北大へ進学(獣医学部を選択したのは、幼いころからペットをたくさん飼っていたから)
  • 柔道で鍛えすぎて腕が太くなり、牛の検査で直腸に腕を入れたら牛が悲鳴を上げ、検査を断念せざるを得ず、産業獣医師を諦める
  • 先生から「小菅!象の尻は牛よりデカいぞ!」と言われたこともあり、卒業間際に募集を知って旭山動物園へ就職

とまぁ、これだけでもいかに楽しい先生か、十分伝わるんじゃないかなと思うのですが、私が一番好きなのは、「動物に嫌われる」話。

小児科の先生が子どもに嫌われるのと同じように、先生も動物たちに嫌われていたそうで、飼育員さんが行くと寄ってくるのに、先生が行くとパニックになるとか、虫歯治療に連れていったオランウータンに髪の毛を引きちぎられたとか。

そして、動物園の動物だけでなく、自宅で飼っているカメのたいようくんも、小菅先生が呼んでも来ないのに、奥様が呼ぶと寄ってくるという、ちょっと切ないエピソードまであるんです。

動物が大好きなのに、いつも片想いの先生。

いつか両想いになれるといいのですが(笑)

 

動物園で様々な動物と触れ合った経験をもとに、びっくりするような動物の生態も教えてくれる小菅先生。

動物の話はもちろん、先生自身のおもしろエピソードも必聴です。

どんな話が飛び出すか、乞うご期待!

【子ども科学電話相談 先生名鑑】本間希樹先生

「子ども科学電話相談」レギュラー化記念

個性あふれる先生方を好き勝手に紹介する【先生名鑑】

 

本間希樹先生(天文・宇宙担当)

1971年アメリカ・テキサス州生まれ。

東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。理学博士。

学術振興会特別研究員、国立天文台COE研究員、国立天文台助手を経て、現在国立天文台水沢VLBI観測所所長を務める。

著書に『巨大ブラックホールの謎』がある。

 

 

つい先日、世界中が注目した天文学のビックニュースがありました。

www.nao.ac.jp

 

本間先生は、その大偉業の中心にいた一人です。

まるでこの偉業を予想していたかのように、2年4ヶ月前から密着取材していた「情熱大陸」も放送されましたし、各種新聞等のインタビューにもたくさん応じられていましたので、名前と顔を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

 

他の天文・宇宙担当の先生とは違い、「天文学者」である本間先生。

情熱大陸」でも自ら話していた通り、星座などの話題には弱く、天文学的な質問に答えることを得意としていらっしゃいます。

特にブラックホールに関してはご専門ですし、研究者にとって、興味を持ってもらえることはとてもうれしいことなので、いつもノリノリで答えてくださいます。

www.nhk.or.jp
永田先生の「ベテルギウス爆発しないかなぁって思ってる」発言にも通じる、「ブラックホールに入ってみたい」発言。

「ちょっと」とおっしゃっていましたが、ホントはちょっとじゃないと思う(笑)

 

そんな本間先生の記憶に残る名回答、残念ながら聴き逃しには残っていないので、少しご紹介。

質問は2017年冬休み子ども科学電話相談にて、当時6歳のたいすけくんから「M78星雲にはどうやったら行けますか?」というものでした。

ウルトラマンに会いたい!」というたいすけくんに対し、「まずは場所を知らないといけない」と場所を説明、そして「光の速さでも1600年かかる」と現実的な話をします。

そしてそこで終わりでなく、「ウルトラマンは未知の法則、未知の物理を使って地球に来てるのかもしれない。不思議だね」と付け加え、最後には「将来、不思議を解明してね。ウルトラマンに会えるといいね」と声をかけていたんです。

科学的な説明と夢を壊さない優しさを両立させた回答、本当にすごいなぁと思いました。

 

「天文・宇宙」の分野は、こういったロマン溢れる質問もたくさん。

どんな質問が飛び出すのか、先生がどう回答するのか、童心に戻ってワクワクしながら楽しみたいですね。

【子ども科学電話相談 先生名鑑】永田美絵先生

「子ども科学電話相談」レギュラー化記念

個性あふれる先生方を好き勝手に紹介する【先生名鑑】

 

永田美絵先生 (天文・宇宙担当)

東京出身。大学卒業後、天文博物館五島プラネタリウムに就職。

現在、株式会社東急コミュニティー運営のコスモプラネタリウム渋谷でチーフ解説員を務めながら、大学やカルチャーセンターで天文の講演を行っている。

著書に『カリスマ解説員の楽しい星空入門』などがある。 

 

 

天文・宇宙担当の先生に共通すること。

それは、とてもロマンチックであるということです。

壮大な宇宙を相手にしているので、ある意味必然と言えるかもしれません。

中でも永田先生は「名言製造機」とでも言えそうなぐらい、ステキな発言をたくさん残されています。

「私たちは星の子ども」

「宇宙はえこひいきしない」

「沈んでいく太陽は違う国の朝日になっていく」

もう、めちゃめちゃ詩的だし、宇宙愛と優しさが溢れているし、永田先生の回答はわかりやすいだけでなく、心に響くものが多いんですよね。

なお永田先生、透明の下敷きにアイドル歌手の写真を入れるのが流行っていた学生時代、一人だけアイドルではなく土星の写真を入れていたというエピソードをお持ちなぐらい、宇宙を愛していらっしゃいます(笑)

 

そんな永田先生の優しさと子どもの純粋さに癒されるやりとりをご紹介。

www.nhk.or.jp

まず「からあげ座を作りたい」という発想もすごいし、否定することも一切動じることもなく、同じ時間同じ方角を見るという天体観測の基本を伝える永田先生もすごい。

こんな風に教えてもらえたら、きっと夜空を見上げて星を探す機会は増えるでしょうし、天文にどんどん興味を持つようになるだろうなと思います。

つぐみちゃんのからあげ座、ぜひ私も見てみたいものです。

ちなみに、聴き逃しではカットされていますが、このあと「私はパンが好きなので、食パン座を作っています」という告白もあり、先生の宇宙愛は果てしないなと思いました。

私もピアノ座作ろうかな(笑)

 

永田先生は星の一生に関する回答中、よく「ベテルギウス爆発しないかなと思ってる」と、文字に起こすとちょっと怖いことをおっしゃっています。

最初聞いたときはびっくりしたのですが、今では私も爆発を心待ちにする一人になっておりまして。

どうやら永田先生の宇宙愛には伝染力がある模様。

皆さんもぜひ、ラジオで先生の宇宙愛を感じて、ベテルギウスの動向に注目してください。